多くの人がやりたいこと・進みたい進路を明確に高専に入学している中、ただ漠然と「社会に出ても通用する技術が身につけられそう」と甘い考えで入学しました。学科も一番「トレンディ」に映ったという理由だけで情報科を選択する始末でした。15歳の私には後々ついていくのに苦労することなど知る由もありませんでした(笑)。ただ、自由な校風は非常に魅力的で、実際に入学してみると高専でしか味わうことのできない理想的な環境がありました。今となっては高専を選んで本当に良かったと感じています。(詳しくは後述をご覧ください。)
人とのつながりが今の私にとってかけがえのない財産であり、支えとなっています。友人、先生方、そして今私が所属する会社と、5年間での出会いが人生の骨組みになっているといっても過言ではありません。特に高専でできた友人は一生の宝物だと思っています。卒業し、それぞれに成長した友人どうしとの再会は格別で、また仕事を頑張ろう、もっとやってやろうというモチベーションにもつながります。
今でもまめに友人と連絡を取り合い、近況報告会のような再会の場を定期的に設けています。個性あふれるメンバーが多く、たくさんの刺激をもらいながら次に会える時を楽しみにする、そんな友人たちに出会えたことが高専での思い出です。
幸いなことに会社に入ってからも周囲の方々に恵まれてきました。現在、PCやプリンタ、サーバ、ネットワークなどの保守サービスが主な業務ですが、故障原因が分からず、なかなか復旧できずにお客さまからお叱りをいただくこともありました。そんな時、先輩がお客さま先に助けに来て下さったことがあります。助けていただいたことに感謝するのは当然のこと、お客さまから「流石だね」との評価をいただいている先輩を見て、「自分もこうなりたい」と目指すエンジニア像が明確になった瞬間でした。それを期に仕事を覚え、こなしていく日々から目標に向かってエンジニアとしての力をつけていく日々がスタートしました。モチベーションが向上し、仕事の出来や速さ、お客さまからの評価など、見違えるように成長していくのを実感しました。いずれ後輩ができたらあの時の先輩のような姿を見せられるように努力を続けていきます。
優秀サービス技術者新人賞とは、入社後3年以内の技術職社員を対象に優秀な成果をあげた社員を表彰するものです。私の会社ではCS:Customer Satisfaction(顧客満足度)を経営の根幹と位置づけ、全社で一丸となり「お客さまに選んでいただける」ホスピタリティ溢れる企業を目指しています。細かいことでは、停電が発生した時にお客さま先に電話を入れ、システムダウンなどが起こっていないか確認したり、大きなことではコールセンターと現場とのコラボレーション会議を提唱したり、CS向上に大きく貢献したことが評価され、めでたく受賞することができました。しかし、受賞の裏には先輩や上司のバックアップがあり、協力を惜しまなかった関係部門の方々の支えがあります。今度は恩返しをする番だと、意気込み新たに更なる成長を目指しています。
高専出身者としてはイレギュラーな道になるかもしれませんが、将来的にはコンサルティング営業職としてよりお客さまとの接点を持つ仕事をしたいと考えています。人と関わる仕事、人の役に立つ仕事がしたいという思いが元々強くあり、今の会社を選びました。入社後もその思いは強くなる一方で、今のうちにみっちりと技術を磨き、社内での今後のキャリアに活かしていきたいです。当面は日々の業務を確実にこなし、馬力のあるエンジニアを目指したいと思います。
在学中は慣れない分野に四苦八苦し、ついていけないからと諦めそうになったことも何度かありました。しかし、家族や友人、先生方の支えがあって無事に卒業、就職することが出来ました。高専は技術を学び磨くための学校でしたが、私にとっては原点であり、人とのつながりが大切であるということを教わった場所です。現在在学中のみなさんや高専を目指す中学生のみなさんにもきっとそんな出会いが高専にはあるはずです。何事も恐れずに飛び込んでみましょう!
助けられてばかりの高専生活
平成25年度 電子情報工学科卒業。
NECフィールディング株式会社 北関東支社 長野支店 サービス課勤務
PCやプリンタ、サーバ、ネットワークなど、社会インフラとなるシステム・装置の保守業務に従事