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研究者ピックアップ

第5回

小型平面アンテナをより広い分野へ

電気電子工学科准教授 柄澤孝一

機器の中で守られながら電波を送受信し続ける小型アンテナ

 アンテナと言えば各家庭の屋根にある「八木アンテナ」が一番イメージが沸きやすいと思いますけれど、それを二次元化、すなわち平面化したアンテナ(写真)について研究しています。
 メインの用途としては「送受信装置の内部に入れて使用する」ことを想定しています。「外側に貼って使う」という使い方もできますが、自然現象や人為的な力によって剥がれてしまえばデータを送受信できなくなるので、アンテナ自身を守るには装置の内部が適しているというわけです。お見せしたアンテナのように、送受信する周波数によっては相当な小型化が可能ですので、八木アンテナとは違い装置に入れてしまうことができるわけです。
 ただし装置の内部に入れれば当然送受信感度は下がります。ですがその条件下で送受信感度を上げるノウハウと持っていることが一般のメーカと違うところであり、従来の3倍の性能を出す場合もあります。


(クリックで拡大)柄澤准教授が開発を手がけている平面アンテナのひとつで、無線LAN用としての使用を想定し2年前に卒研生と開発したもの。受信する周波数によりアンテナのサイズや形状が変わるという。

小型・平面ならではのメリットで従来のアンテナに挑む

 とは言っても、たとえば地デジの受信で考えた場合に、やはり八木アンテナと比べると感度では敵いません。ただ、八木アンテナをもってしても3台、4台とテレビに電波を振り分ければ映像が乱れてくるかと思います。その点、このような小型平面アンテナであれば、コストは相当安いですから、テレビ1台につき1枚貼ってしまえばいいわけです。また、八木アンテナが老朽化してアンテナを新調しなければならない時に、交換コストを抑えたい消費者が平面アンテナに乗り換えてくることも期待できるでしょう。被災地のプレハブなど、なかなかアンテナを立てられないところでも平面アンテナは威力を発揮すると思います。

対応周波数の自由度が生み出す大きな可能性

 今回お見せしたアンテナは無線LAN用(2.45 GHz)で、送受信したい周波数帯によってサイズや形状は変化します。逆に言えば、形状を変えることで自在に使用周波数帯に合わせたアンテナを作り分けることができるのです。
 今は周波数ごとにテーマを決めて学生の卒業研究としていますが、それぞれのテーマが異なる企業と関わっており、目前の製品化を視野に開発を進めています。極端な場合では1週間や2週間後には実際に使われることもありえます。今年も5名の卒研生のうち3名が携わっているアンテナが今年中に製品化される予定です。残りの2名もこれからの追い込みで製品化するかどうかが決まってくる状況です。
 これまでもいろんな周波数の、いろんな形状のアンテナが装置に内蔵する形で使われてきました。装置の外から見れば分かりませんが、身近な会社から販売されている装置の内部にも入っています。



開発を通して得られた知見を学術的資産として残す

この研究が始まったのが2006年からです。地域共同テクノセンターを経由して企業(株式会社フェイバライツ)から平面アンテナの評価を頼まれたのがきっかけで、さいわい研究室には評価に必要な設備「ネットワークアナライザ」を揃えていましたので、研究をスタートさせることができました。これまで実施してきた「パラメトリック磁気センサ」に次いで2番手の研究テーマとして出発しましたが、いまでは研究室のメインテーマとなっています。
 差し当たってやらなければと感じていることは、平面アンテナの送受信特性などについて具体的な解析を行い、学術論文等にて発表することです。現在は製品を世に出すための最終調整を進めるのが精一杯で、解析が間に合っていない状況です。ほとんどは作ってその結果どうなるかのカット・アンド・トライで、ノウハウを頼りに使いたい周波数に持っていくことはできていますが、理論的な解析を充実させ論文発表に結びつけたいところです。
 つい先日研究室の専攻科生が、タイ国で開催された国際学会で、開発した平面アンテナについて発表させてもらいました。この発表が記念すべき学術論文第1号となりました。


柄澤研究室の専攻科生、松下隼也くんがタイ国での国際学会にて口頭発表を行った。詳しくはこちら

小型平面アンテナの可能性をさらに拡げたい

最近はM2M(Machine to Machine)と呼ばれる、人間の手を介さず機械から機械へ自動的にデータを通信する手法に注目が集まっています。たとえば工事や医療の現場、さらには人間が立ち入ることが困難な災害現場などで、人間の代わりに機械がデータを採取して、別の機械へ送信して集約する、といった方法です。この無線通信にこの小型平面アンテナが応用できれば、これまでもっぱら電気電子分野で活用されていた平面アンテナの応用分野が、機械、土木、医療などといったきわめて広範囲に拡がります。

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電気電子工学科准教授 柄澤孝一 信州大学大学院工学研究科修士課程電子工学専攻を修了後、1992年本校電気工学科に助手として赴任。講師、助教授を経て2007年より電気電子工学科准教授。電子情報通信学会、日本磁気協会、米国電気電子学会(IEEE)に所属し、磁気センサ、平面アンテナに関する研究に従事。博士(工学)。趣味は空手。現在株式会社フェイバライツ日精株式会社と共同研究中。(2012年12月掲載)

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