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研究者ピックアップ

第6回

「水をはじく」ことへの探求

機械工学科講師 柳澤憲史

水を「はじく」

 まずはこれらを見てもらえますか(写真)。
 白い方はシリコーンでできていまして、それにカーボンを混ぜ合わせたものが黒い方になります。また黒いシートには、細かい線状の溝を無数に付けた表面加工をしてあります。これで何ができるかと言いますと、動画を見てもらえばわかりますが(白いシート黒いシート)、いわゆる「水をはじくシート」を開発しています。白いシートの動画を良く見ていただくと、かけた水滴はぽたぽたと滑り落ちていますよね。水滴というのは水滴同士がくっついて大きくなってから滑り始めるんですよ。逆に言えば、ある程度の大きさにならないと、水滴は滑らず留まってしまうのです。白いシートもはっ水性の素材なのでかなり水をはじくのですが、これにカーボンを混ぜ合わせ、微細な表面加工を施すと、水を完全にはじくようになるのです。高いはっ水性を得るには素材と加工の両方を研究することが大事になります。


(クリックで拡大)シリコーン製のはっ水シート(白)と、それに炭素を練り込み表面加工を施したはっ水シート(黒)

水分を嫌がるシチュエーションは多岐にわたる

 「水をはじくシート」の用途はかなり広いと思います。たとえば、冬になるとスカイツリーに氷の塊がくっつき、それが地面に落下する事故が起きていますが、これは水滴が付着したまま凍ることが原因ですので、水をはじくことができれば当然凍ることもないわけです。車のドアも同じです。とても寒い日に開かなくなるのはドアと車体とが凍ってくっつくためですから、水分が残らないようにしてやればいいわけですね。屋根に雪が積もらないようにするのにも一役買えると思います。
 難しいところでは、「マイクロマシーン」にもはっ水技術が重宝します。実は水には引っ張る力があります。水滴同士がくっついてひとつになるのも、指をぬらしておくと紙がめくりやすくなるというのも、水に引っ張る力があるからなんです。マイクロマシーンに使われるような小さい歯車ですと、歯車と歯車との間に水滴が入ると、水の引っ張る力で歯車が正常に回らなくなります。
 水に汚れが混じっている場合など、まだ考えなければならない要素も残っていますが、実用化への可能性は大きいと思います。

「知りたい」から拡がる可能性

 この研究はいわゆるトライボロジー(摩擦に関する学問)と呼ばれるもので、すなわち「ものが滑る原因は何?」ということを調べることなのですが、その中の基礎的なことなんですよね。ただこの分野に携わる研究者も少なく、また「滑ること」を評価する基準も未だ厳密に定められない状況だったりします。実は私は基礎研究、つまり「分からないことを調べる」ことそのものの方が興味があったりするのですが、これまでわからなかったことがわかること、新しい知見が多くのモノを産み出すこと、その両方を満たすことができるテーマだと思っています。調べたいことが多すぎて、あと5人くらい卒研生が欲しいかもしれません(笑)



PLOFILE

機械工学科講師 柳澤憲史 2008年に信州大学大学院博士後期課程システム開発工学専攻を修了し、同年より信州大学工学部知的クラスター創成事業産学官連携研究員。2010年より本校機械工学科助教に就任し、2012年より講師。機械学会、トライボロジー学会、精密工学会、アメリカ機械工学会(ASME)に所属し、トライボロジー、システム工学に関する研究に従事。博士(工学)。(2013年1月掲載)

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