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研究者ピックアップ

第7回

その文書は適切に情報を伝えているか

電子情報工学科助教 藤田悠

その文書は適切に情報を伝えているか

私はソフトウェアの「開発文書」の品質を評価し、さらには改善しようという研究を進めています。ソフトウェアの開発と言われるとプログラミングを思い浮かべると思いますが、その前にプログラムにどういう機能をもたせるのか、どういうインターフェイスにするのか、どういう仕組みで組み込むのか、などを「設計する」必要があります。特に、大きい組織では大勢の人が開発に関わりますので、プログラミングの前段階で開発内容をお互い確認するために、何かしらの情報伝達の手段が必要となるのです。そのために「文書」という形で情報を共有しながら開発を進めます。このように、ソフトウェア開発に伴う文書作成を、「ソフトウェアドキュメンテーション」と呼びます。
開発文書は誰が読んでも同じ内容として理解できる文書でなければならないですし、開発している内容がきちんと反映されていなければ、次の行程を担当する人がその中身を充分理解せずに作業をしてしまうということにもなりかねません。この開発文書が適切なものとなっているか確認する手法を考えていまして、さらに問題点が浮かび上がった文書を適切な文書に改善するにはどうすればいいのかを教育していくことも考えています。



目に見えないものを確実に伝えなければならない

たとえば車や機械の場合には図面があり、その図面をどのように作り上げるのかを定める仕様がありますよね。三面図などは共通のルールのもとで作られているから誰が見ても同じ仕事ができます。プログラミングにもフローチャートという可視化した情報がありますけど、プログラミングよりも前の、どういう機能にするのかなどの設計をする段階では、文章に頼らざるを得ないです。

その文章を評価する方法ですが、「定量的な方法」と「定性的な方法」の2つがあります。定量的な方法は機械に任せることもでき、その例としてページ・単語・段落の数などの数を数えることや、最近では自然言語処理で文法のチェックなどはできます。けれども、定性的な方法、例えば見出しと内容が合っていないとか、内容が冗長であるとか、箇条書きのルールがそろっていないとか、そういったものに関してはまだ機械で判断するのは難しいです。そうなると、これらのポイントは今のところ人間が見るしかないのです。

ところが、人間の間でも評価が大きくばらつきますし、同じ人間でも日によって見方が変わる場合もあります。実際に「文書に含まれる、問題点を指摘する」という課題を出したときには、問題点をなかなか認識できていない方も多くいらっしゃいました。どれだけ神経を尖らせて文章を読むことができるか、どれだけ内容を忠実に理解できるか、他の人が読んでも問題ない表現であるかを判断できるか、などの能力に大きな開きがあるのが原因なのですが、その差を埋められるような評価手法ができないかと考えています。

日本語のあいまいさにどう立ち向かうか

ソフトウェア開発に限らず、すべての「技術文書」において文書作成技術は必要であり、共通する部分は多くありますので、たとえば論文やレポートなどにもこのような評価・修正技術が展開できればいいなと思っています。

英語では「テクニカルライティング」と呼ばれる文書作成技術が定着しています。一方で日本語の場合、あいまいな表現や表現の柔軟さが文書作成に影響を及ぼします。研究の中で古い文献を探ってみると、古くから、日本語の表現のあいまいさや、不適切な表現などに対して、問題が提起されています。それを踏まえると、文書作成技術は、いつになっても、継続して取り組むべき課題として存在するのではないかと思います。「開発文書」の品質に対して、問題意識を持っている方は少なくないようで、去年設立した「システム開発文書品質研究会」という研究会では、ソフトウェア開発に携わる企業の方などを中心に70名以上の方に関心を持っていただいています。

「開発文書」を評価する方法や文書を改善する方法は、唯一的に決まらないかもしれません。しかし、問題意識を持って文書を作成することで、文書を書く能力は向上するはずです。まずは、こういう活動を通して、活動に関わった人たちの文書作成能力が上がっていければいいのかなと思います。そして、その意識を皆に持ってもらえるような、文章を見つめ直すスイッチになれるような指摘などができていければと思います。



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電子情報工学科助教 藤田悠 2006年に信州大学大学院博士後期課程システム開発工学専攻を修了し、同年より信州大学全学教育機構研究支援推進員。2009年に本校テクノセンター助教に就任し、寄附研究部門における活動に従事。2012年からは電子情報工学科助教。電子情報通信学会、米国電気電子学会(IEEE)に所属し、ソフトウェアドキュメンテーション,文書品質、開発文書に関する研究に従事。博士(工学)。(2013年2月掲載)

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