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研究者ピックアップ

第8回

材料の「体力」と真摯に向き合う

電子制御工学科教授 堀口勝三

材料の体力測定

私のメインの研究はいわゆる「材料の特性評価」です。工業用の材料には金属、プラスチック、セラミック、そしてそれらを混ぜた複合材料といった様々なものがありますが、それらの特性を様々な条件のもとで評価しています。「特性評価」というのは、人間で言うところの「体力測定」を材料に対して行うようなものです。具体的には、どのくらい強く、どのくらい力をかければ壊れてしまうのか、といった主に強度面の特性評価をしています。

硬い、なのに壊れない。

一般的に「硬いものほど壊れやすい」というのがありますが、「硬いのに壊れない」といった両方を備えることは、材料を複合させることで実現できます。たとえば、ガラスは硬い代わりに割れやすいですが、これに柔らかいプラスチックを混ぜることで、ガラスとプラスチックとの間の性能を持たせることができます。こういった目的に合った材料を作り出すことを「材料設計」と呼んでいます。
最近では、非常に丈夫でかつ軽いため飛行機や自転車などにも使われるようになった、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック,炭素の繊維を混ぜたプラスチック)について主に調べています。


写真1 (クリックで拡大):特性評価に使われるCFRPの試験片。厚さはたった2ミリであるのに、曲げることも割ることも難しい。

CFRP 対 試験機

これが評価に使っているCFRPの試験片です(写真1)。重そうな感じに見えますが、見た目よりずっと軽いです。ところがこの材料は鋼の約3倍の強度がありますので、折るのはたいへん難しいです。
この試験片を壊しにかかるのが、「引張試験機」と呼ばれる装置です(写真2)。上下のアームに試験片をはさんで、どれくらいまで引っ張れるかを調べるのですが、加える力は相当なもので、数値で言うと50キロニュートン、例えると「車が2・3台ぶらさがる」くらいの力を加えます。
当然最終的には試験片は壊れてしまいますが、その時の力はもちろん、音なんかも重要な情報を持っています。たとえば繊維がちぎれたのか、それとも層が剥がれるように壊れたのか、といったことが音から分かります。ですから音は録音して、周波数や波形を慎重に調べていますね。


写真2 (クリックで拡大):堀口研究室が特性評価に用いている引張試験機。上下のホルダーに試験片を挟んで破壊するまで引っ張る。

形状・組成・環境・「織り方」

ところでこの試験片をもう一度良く見てもらいたいのですが、洋服のように繊維が織られているのが分かると思います。実は試験片の強度は、形状や材料の混ぜ具合はもちろん、炭素繊維の「織り方」でも大きく変わってくるのです。ちなみにこれは「平織り」と呼ばれ、縦横交互に交わるように織られています。これをたとえば2本飛ばし、3本飛ばしといった織り方のバリエーションを付けたりして、強度や形状特性の変化を調べているのです。
それから実はこの材料、ロケットの液体燃料を積むタンクに使えないかというのを調べています。ロケットの燃料には液体酸素や液体水素を使いますが、これらを液体のまま運ぶにはきわめて低い温度が必要になります(液体酸素で-183°C,液体水素では-253°C)。これらを保管する極低温下では、この材料の強度は室温下と比べてどうなるのかを調べているわけです。
このように、実際に使われる環境を模擬して試験することは実際に使う際に大切なことなのです。

複合材料の夢を拡げたい

基本的には企業から依頼された材料を評価して、結果から形状や組成などについてアドバイスする、といった活動をしていますが、卒研生にはなるべく「ものづくり」をして欲しいという思いがありますので、こういった試験片を自分たちで作ってもらうところから研究させています。
複合材料はひとつひとつの材料では持ち得ない性能を、混ぜることで実現できるたいへん夢のある材料です。今はとりわけCFRPについて調べていますが、いずれは自分たちのオリジナルの複合材料を作り出していければという思いは強いですね。



PLOFILE

電子制御工学科教授 堀口勝三 1989年に東北大学大学院工学研究科機械工学第二専攻博士前期課程を修了し、同年より東京都立工業高等専門学校機械工学科助手。1992年に東北大学工学部材料加工学助手。同大学院助手、助教授を経て2006年に本校電子制御工学科助教授。准教授を経て2012年より教授。博士(工学)。日本機械学会、日本金属学会、低温工学協会に所属し、材料力学、材料試験・評価、構造材料等多岐にわたる研究に従事。(2013年3月掲載)

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