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研究者ピックアップ

第10回

教育が拓く可能性を探る

一般科(社会)講師 二星潤

古代と現代の教育の比較

 私は、日本古代の教育の歴史について研究しています。奈良時代や平安時代には、学校が平城京や平安京にありました。日本の古代に学校があったと言うと、皆さんとても驚かれるのですが、国立の学校だけでなく私立の学校もありました。私はそれらの中でも、「大学」という国立の学校を研究対象としています。
 古代の大学では儒教を中心に教えていたので、教育内容は現代とは大きく異なります。一方で、試験制度などにおいては、現代の教育制度と似ている点も多いです。たとえば、学問の神様として有名な菅原道真は、幼い頃から父親に家庭教師を付けられてスパルタ教育を受けていました。また、いわゆる「受験戦争」があり、試験の結果に一喜一憂したり、カンニング事件が発覚して問題になったりもしています。これらのことを見ると、古代も現代も教育における変わらない状況があることや、古代でも教育を重視している姿勢が分かり大変興味深いです。



史料とどう向き合うか

 日本古代史では、他の時代と比べて史料の数が圧倒的に少ないです。新しく発見される史料もほとんどないために、古代史の史料は研究者にとってはよく知られているものばかりです。それらの以前から研究されている史料をどのように解釈していくかが、古代史の研究の難しいところでもあり醍醐味でもあります。史料の一字一句を大切にして丁寧に読み込むことによって、新しい解釈が生まれ、古代の教育の実態に迫ることができると考えています。

教育における格差問題

 現代の教育は様々な問題を抱えていて、学力格差など教育における格差が問題視されています。教育格差の問題は、日本の古代社会にも存在しました。古代の大学は、設置当初から貴族の子弟を主要な入学対象としていて、教育の機会そのものに格差が設けられていました。また、学歴によって出世コースの傾向が決まっていました。このような古代の教育格差が与えた影響は、現在、教育格差の問題に直面している私達が把握しておくべき問題であると思います。

教育が拓く可能性

 古代社会では、大学の入学対象者を見ても分かるように、生まれた家柄が大変重視されていて、家柄が良いと早く出世をすることができました。しかし、その条件に恵まれなかった者でも、良い出世コースを歩める可能性がありました。それが大学に入学して、難関である役人の登用試験に合格することでした。登用試験の合格を足掛かりにして出世を遂げた代表的な人物が、奈良時代の吉備真備と平安時代の菅原道真です。大学での教育によって、彼らは家柄という変えられない条件を乗り越え、人生の可能性を拓くことができたと言えます。
 私は日本古代の教育を研究対象としていますが、教育がいつの時代も将来を担う人材を育成するという性格を持つ以上、日本古代の教育の実態や影響を明らかにする意義は大きいと考えています。日本古代の教育の研究成果を通して、現代社会における教育が今後目指すべき方向性を考えるための指標を提示できればと思っています。

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一般科(社会)講師 二星潤 関西学院大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学の後、2013年に博士(歴史学)を取得。関西学院大学非常勤講師などを経て、2014年、本校に一般科講師として着任。大阪歴史学会、続日本紀研究会などに所属し、日本古代の教育史を中心に、制度史・社会史などの研究に従事。(2015年8月掲載)

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